介護の新御三K①

介護福祉の仕事は、「3K」の仕事だとよく言われます。

キツイ キタナイ キケン

自分も、介護福祉の世界に25年間身を置いた人間なので、実感する部分はありますが、実際のところどうなのか、データを基にちょっと調べてみました。

すると、
・キツイ
・勤務する環境の問題
・給料が安い
という新御三K(今までも言われてはいましたが・・・)が誕生しましたので、報告したいと思います。 

【キツイ】

まず、子どもたちは介護福祉をどんなイメージで捉えているか。

「精神的に負担が大きい」とイメージしている中学生が66%、高校生が82%(福祉系の高校生は84%)で、「身体的に負担が大きい」とイメージしている中学生が76%、高校生が85%(福祉系高校生は87%)という結果になっています。

自由記述でも「大変そう」「重労働」「つらそう」「ストレスがたまる仕事」などの意見が多く見られました・・・。

中学生は実体験がないので、想像によるところ(テレビの影響が大きというデータもありました)が大きと思いますが、体験や実習をしているであろう福祉系の高校生の数字が最も高いというのは気になりますね。

ただ、福祉系の高校生の「やりがい」「社会的評価」「かっこよさ」「職場の雰囲気」に関する項目のポジティブなイメージは、中学生や福祉系以外の高校生に比べはるかに高い数値が出ています。ここに希望の光がありますよね。

さて、次は保護者の方のイメージです。
やはり、精神的・身体的な負担が大きいと答えている方が88%~95%と、尋常ではない高値を記録しています。

自由記述でのアンケートにも、「肉体的にも精神的にも大変な仕事」「きつい、しんどい」「重労働」という意見が多数ありました。

次に教員ですが、こちらも「精神的な負担が大きい(98%)」「身体的な負担が大きい(99%)」というイメージがとても強いという結果でした。

最後に実際に働いている職員さんの意見をみてみましょう。

現場で働く職員さんに悩みや不安などをきいたところ、
・身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)30.2%
・精神的にきつい26.3%
・夜勤や深夜時間帯に何か起きるのではないかと不安がある16.5%
という結果になっています。

しかし、これだけしんどさを抱えていても、介護関係等以外に転職したいと答えている人は、4.2%と非常に少ないという結果も示されています。

これらの結果をみてみると、子どもを含めた一般の人たちのイメージと実際に働く職員さんの実感が一致していることがうかがえます。

テレビ等でネガティブなイメージを持ちやすくなっている印象がありますが、実際に働く職員さんも精神的・身体的負担を実感しているのであれば、介護福祉の仕事は「キツイ」ということは否めません。

一方で、前述したとおり、介護福祉の仕事を体験すると、やりがいやかっこよさをより強く感じるという事実や、キツイ仕事ではあるが他の分野に転職したい人が少ないという調査結果をみてみると、やはりこの仕事には人を引き付ける魅力があることも否定できません。

弱みを改善し強みを伸ばしていくためにも、事実をしっかりと認識することが、介護福祉の仕事をあこがれにする第一歩だと改めて感じました。

次回は、「勤務する環境の問題」に触れます。

 

このブログは、以下の資料を参照しています。

・上原千寿子、『福祉・介護の仕事に関する意識調査報告書』、社会福祉法人 広島県社会福祉協議会、2015.10、
https://www.fukushikaigo.net/other/images/report/report_ishiki.pdf
・『平成30年度 介護労働実態調査結果について』、公益財団法人 介護労働安定センター、2019.8、(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2019_chousa_kekka.pdf
・『福祉の仕事に関する意識調査報告書』、社会福祉法人 三重県社会福祉協議会、2019.1、(http://www.miewel-1.com/jinzai/miryoku/doc/H30report.pdf

 

2020年04月06日