遺す人

「偉大な人物は、何かを手に入れる人生ではなく、何かを遺す人生を歩む。」という言葉を聴いたことがあります。

山口県出身の佐々部清監督は、まさに遺す人生を歩まれた方だったのではないかと思います。

佐々部清監督は、言わずと知れた日本を代表する映画監督です。
半落ち(VHSをレンタルした記憶が…)で監督を初めて知り、チルソクの夏を観て心を奪われました。それからは、監督の作品を捜しては観るの繰り返しです。

陽はまた昇る
四日間の奇跡
カーテンコール
出口のない海
夕凪の街 桜の国
種まく旅人 夢のつぎ木
八重子のハミング

助監督を務められた
ホタル
鉄道員(ぽっぽや)

普通の人生や日常の出来事にある喜びと悲しみ、絶望から立ち上がろうとする人間の強さ、出合いの連鎖など映画で描かれている人間臭さに心を惹かれるんです。

なんで、こんな表現ができるんだろう?


わたしが佐々部監督と初めてお会いしたのは、2016年10月8日の周南圏域介護支援専門員研修会に講師としてお越しくださった時です。

主催者の一人だった私が、企画会議でダメ元で「佐々部清監督をお招きしたいなぁ」と呟いたところ、一人の先輩がすぐにつながりのある方に電話をしてくださって、間もなく「大丈夫みたい!」という返事が返ってきました。

えー、こんなことがあるのかぁ…。

念ずれば花開く
縁尋機妙

先達が遺した言葉はまさに偉大だということを実感!

研修当日、実際にお会いしてみると、本当に気さくで謙虚で話が面白い!
講演会もその後の打ち上げも二次会も三次会も四次会も、あっという間に時間が過ぎていきました。

その後、2回お会いして食事を一緒にさせていただきました。
お会いする回数を重ね、その人柄や映画に対する熱い思いに触れば触れるほど、ますますファンになっていく。

そんな中で、一番感じたことは、監督の周囲への気遣いです。ファンサービスはもちろんのこと、誰に対しても分け隔てなく丁寧な言葉遣いで、ご自分が話したいことより周囲が聞きたいことをお話になり、必ず感謝の言葉を述べられ、常にまわりを見渡して気を配る、などその一挙手一投足が人を大切にする心で溢れていました。

だから、あんな表現ができるんだぁ…。


今日は、監督が今年1月15日にFacebookで紹介された『きっと、いい日が待っている』を観ました。

監督から、今はしんどいかもしれないけど、辛抱しているときっといい日がやってくると励まされたような気持ちになりました。

偉大な人が遺した、作品や想い出、言葉はいつまでも人の心に灯りをともしてくれます。

一期一映。

合掌

2020年04月27日