周南圏域介護支援専門員研修会2019

9月29日(日)、徳山保健センターにおいて、18年続く周南圏域介護支援専門員研修会を
開催しました。

今回は周南市介護支援専門員協会が引き受けでした。
テーマは「地域包括ケアの原点・今・未来」

ということで、平成28年に周南市で地域包括ケアについてご講義いただいた、慶應大学大学院堀田 聰子教授を3年ぶりにお招きし、ご教示いただくことにしました。

先生は、「地域包括ケアから地域共生社会へ」という演題で1時間30分お話ししてくださいました。


まず驚いたことは、そもそも「地域包括ケア」は高齢者分野に限ったものではないということ。分野や年代を問わず「生きづらさ」を抱えた人たちをまるごと支えていくシステムが、地域包括ケアシステム・・・なるほど。

地域包括ケアにおいて、一人ひとり違う当たり前の暮らしが送れるよう、自立・自律(を支援)することが大切。特に支援者側のあり方として、「良かれ」と「のぞみ」は違うことを認識しておかなければならない、とおっしゃられました。

つまり、家族など支援する側が良かれと思って行っていることと、本人が望んでいる暮らしには往々にして、ズレがあることを知っておく必要があるということです。

また、現在の日本における問題点として、孤立化が進んでいることを指摘されました。関係性の貧困が進んでいるとのこと。この問題が様々な生きづらさを生む根源になっているのかもしれません。

現在起こっている色々な問題は、年代を問わず分野を超えて起こっているため、現状の分野別・年代別の制度やサービスではモレが生まれてくるとのお話もありました。


「宝の持ちぐされ」のお話にはとても興味を惹かれました。
「空き家や空き人(60歳代の中高年の力)、サービス事業所の車などの財産が活用されていない、もったいない!」と語気を強められました。

さらに、事例を示しながら認知症の方の力を活用する取組の紹介があり、参加者された方たちは驚いた様子でした。認知症の方が車屋さんで洗車をしたり、宅急便の配達をして、きちんと報酬をもらっている(当然、ご本人に給与として支給している)事業所の取組が紹介されました。


その他にも、新しい健康の定義(ポジティブヘルス)=病気や障害などが発生しても、それに適応し自ら管理していく能力としての健康、断らない相談志のあるお金の循環など、キュンッとくるお話が盛りだくさんでした。

90分間のお話を聴き、社会は地域包括ケアから地域共生へと移行しつつある(移行せざるを得ない?)ことを実感することができました。

人は誰も、誰かの社会の役に立ちたいと思っている。オリジナルの人生を生きたいと思っている。私たちは、”支援する”という大義名分のもと、ご利用者が「人として当たり前に暮らす」ことを取り上げていないか、反省しっぱなしの90分となりました。


最後になりましたが、大変お忙しい中、周南圏域の介護支援専門員のためにお時間を創り、貴重な知識とマインドを伝えてくださった堀田先生に心より感謝いたします。

また、この研修会を開催するにあたり、ご協力くださった下松市・光市・周南市の介護支援専門員協会の役員の皆様、本当にありがとうございました。お陰様で、良い研修会となりました!

あっ、記念撮影を忘れちょったなぁ・・・。

2019年09月30日