連携の四段活用

厚生労働省のホームページには、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進する、と今後の方向性が示されています!

併せて、疾病を抱えても、自宅等の住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けられるためには、地域における医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供を行うことが必要であるとも述べています!

どうやら、医療・介護の専門職の共通のミッションは、「自分らしく」生き・逝くのを支えることで、その手段として「連携」することが有効だということみたいです。

実際に医療・介護の専門職の倫理綱領にはそのことが明記されています。

例えば、看護者の倫理綱領 ※研修資料で使用したため、若干省略してあります。
【前文】人々は、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福であることを願っている。看護は、このような人間の普遍的なニーズに応え、 人々の健康な生活の実現に貢献することを使命としている。
看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、 生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。
【条文9】看護者は、他の看護者及び保健医療福祉関係者とともに協働して看護を提供する。看護者は、協働する他の看護者及び保健医療福祉関係者との間に、自立した専門職として対等な関係を構築するよう努める。
すなわち、お互いの専門性を理解し合い、各々の能力を最大限に発揮しながら、より質の高い看護及び医療の提供をめざす。
公益社団法人日本看護協会ホームページhttps://www.nurse.or.jp/

介護支援専門員倫理綱領
(自立支援)
1.私たち介護支援専門員は、個人の尊厳の保持を旨とし、利用者の基本的人権を擁護し、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、利用者本位の立場 から支援していきます。
(他の専門職との連携)
10.私たち介護支援専門員は、介護支援サービスを提供するにあたり、利用者の意向を尊重し、保健医療サービス及び福祉サービスその他関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行い、当該介護支援サービスを総合的に提供します。
一般社団法人日本介護支援専門員協会ホームページhttps://www.jcma.or.jp/

その他の専門職は、まだ調べておりませんが、恐らく共通の使命と手段を明文化しているはずです。

今回は、我々のミッションを果たすために有効な連携の方法・考え方を四段段活用という形でまとめましたのでご紹介します。

まずは、顔見知りくらいのゆるい関係をつくる。研修会やイベントで出会ったらすかさず名刺交換をしましょう!ゆる~く結び目を作っておくと、いざという時にスムーズに固い結び目を作ることができます!

昔、フェイスブックでつながっていた(会ったことがほとんどない)スクールソーシャルワーカーさんに、ひきこもりの相談を突然したことがありましたが、お互いに「いいね!」を押し合った仲だったので、スムーズに話し合うことができたことがありました。

ここで最も大事なのは、お互いに「できないことを知っておく」ということです。思い込みや無理な期待・要求は関係性を崩す原因になります!

連携の中で、最も大切なポイントだと思います。顔も専門性も分かるが、連絡や報告、相談の方法を決めていないために、相手の邪魔をしたり、遠慮して報告等が遅れるということは良くあることです。電話がいいのか、FAXがいいのか、メールがいいのかを早い段階で決めておくことがとても重要だと思います。

余談ですが、介護側が医療側(特に医師)に話をする(メールをする)際は、あいさつなどを省くことを求められることが多いです。これまで、前置きは良いから用件だけを伝えてほしいと、何度も言われました…。

ここまで来ると、かなり連携が取りやすくなるでしょう。少し無理なお願いもきいてもらえる可能性が高くなります。

ただ、礼儀を欠くようなことがあってはいけません。専門職の前に一人の人として当たり前のことができなければ連携が取りやすい信頼関係が築けるはずはありません!

2019年10月21日