【勤務する環境の問題】
・休憩が取りにくい
・休暇が取りにくい
・急に休めない
・勤務時間が不規則で長い
・関係性(他の職員やご利用者・ご家族)…等など
今回は、関係性の問題には触れず、勤務形態に関する問題点を取り上げましょう。人間関係については、またいずれ。
確かに、小規模の施設や事業所では、休憩室がなく、休憩時間もご利用者と同じフロアで過ごすことが多いので、休みと仕事の境目があいまいという感じがあります。ナースコールが鳴れば、対応しなければいけませんし…。
休暇に関しては、希望休制を取っているところや、勤務を組んでおいて必要に応じて職員同士で交代する事業所など様々です。
有給休暇については、取りにくいと感じている現場の職員さんは多いようです。職員同士で話し合って、来月は自分が旅行で長期休み(有給も多めに)を取るから、再来月はあなたが…みたいな就業規則にはないルールを決めるなどの工夫?をしているなんて話も聞きます。
急な休みは、自分で代わりを見つけて交渉するパターンや、リーダー格の職員が必ず調整を図ると決めている施設などイロイロです。
子どもさんの病気や職員本人の体調不良などで急に休みが必要になったが、まわりもみんな忙しいから、言い出しにくく泣く泣く仕事に行ったという話もよく聞きます。
逆に、そういった職員はとにかく休ませ、勤務のことは現場で何とかするという風土の施設もあったりします。
また、勤務表を組む職員(往々にしてリーダー格の職員)が他の職員の休み希望を優先して、自分が我慢するということも多いようです。
夜勤の勤務時間の長さは、私もよく理解できます。一人で張りつめたまま夕方から朝まで、というのは長く感じるもんです。特に夜勤に入る直前は。私も夜勤をしていたときには、憂鬱な気分で玄関をくぐったもんです。勤務に入ってしまえばあっという間でしたが…。
実際に現場で働く介護職を対象に行った調査結果を見てみても、休憩や休暇(特に有給)、急な休みの問題は、悩みや不満として高い数値を示しています。
このことは、高校の教員や中高生の親御さんなど大人のイメージとイコールになっており、67%~77%の人が勤務する環境にマイナスのイメージを持っています。
中高生で勤務する環境が良くないとイメージしている割合は50%未満で、大人たちと大きな開きがあります。特に福祉系の高校生では、良いイメージの方がマイナスなイメージを上回っているという結果になっています。
これらを踏まえると、勤務する環境を改善する取組を継続しなければいけないことが改めて理解できます。中高生のイメージ(特に福祉系の高校生)と現実にギャップがある限り、若い人で介護に従事する人は増加(定着)しないでしょう。目指す子どももますます減ってくるでしょう。
職員が少ない→休みが取りにくい→無理をする→体や心を壊す→退職→職員がますます少なくなる→・・・繰り返し
就職する人が少ない→職員が増えない→休み取りにくい→無理をする→現場で働く人のストレスが溜まる→子どもたちが憧れない/大人たちが就職を勧めない→就職する人が少ない・・・繰り返し
こんな悪循環を断ち切らないと!
その悪循環を断ち切る方法の1つが採用力のアップです。
採用には、土と花と蜜蜂が必要です。
単に自社をアピールするプレゼンテーション能力が長けているだけではいけません。
最も重要なのは、「土」です。つまり、その施設や事業所の風土です。
今回、お話ししてきた勤務する環境も「土」の中に入ります。
土を整えてこそ、「花(施設のウリ)」や「蜜蜂(発信力)」が活きてきます。
人数が少ない中どうすればみんなが休暇や休憩が取りやすくなるか、どんな勤務形態であればみんなが負担なく業務を行えるかなど、勤務する環境を改善するためのワークショップを開催してみるのもいいかもしれません。
確かに、面倒で手間のかかることかもしれませんが、この一手間が後々に素晴らしい成果をもたらすことは間違いありません。
まずは、土を丁寧に耕すことから始めてみませんか?
このブログは、以下の資料を参照しています。
・上原千寿子、『福祉・介護の仕事に関する意識調査報告書』、社会福祉法人 広島県社会福祉協議会、2015.10、
(https://www.fukushikaigo.net/other/images/report/report_ishiki.pdf)
・『平成30年度 介護労働実態調査結果について』、公益財団法人 介護労働安定センター、2019.8、(http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2019_chousa_kekka.pdf)
・『福祉の仕事に関する意識調査報告書』、社会福祉法人 三重県社会福祉協議会、2019.1、
(http://www.miewel-1.com/jinzai/miryoku/doc/H30report.pdf)